赤胴鈴之助と吉永小百合

「赤胴鈴之助」は、少年画報1954年8月号から連載開始されたが、第1回の作者は『福井英一』である。福井は、手塚治虫と人気を二分する存在であったが、急逝されて第2回から『竹内つなよし』によって継続連載されるようになった。

竹内のストーリーテーラー性によって、掲載紙での人気が高まるにつれてマスメディアに取り上げられてゆく。

まず、ラジオ放送では、ラジオ東京(現TBSラジオ)で1957年1月6日から放送された。鈴之助には横田毅一郎、千葉さゆりには吉永小百合、しのぶには藤田弓子が演じた。女優・吉永小百合の誕生である。前年の1956年12月にオーディションが行われ、12月24日に合格の電話が届いたと吉永自身の言葉で確認される。

また、大映で映画化され、鈴之助には1〜7作に梅若正二、8〜9作に桃山太郎、千葉さゆりには浦路洋子(第1・2作のみ)、しのぷには中村玉緒が演じた。

続いて、テレビ放送も開始された。1957年10月2日からKRテレビ(現TBSテレビ)で、鈴之助には尾上録也、お妙には吉永小百合が演じた。ラジオでの主役を上回る人気の吉永をテレビでも演じさせることになったのだろう。

ラジオ・テレビともに日本水産の提供で、「赤胴鈴之助」の終了後も同じスポンサーで「まぼろし探偵」が製作されたが、主役は変わっても吉永小百合は出演し続けた。毎回出番があるわけでもないのだが、それだけ絶大な人気を博していた証拠だろう。(「赤胴鈴之助」「まぼろし探偵」の主役を演じた方は、本当に影が薄かった。)

ちなみに私の場合、ラジオとテレビの放送がダブるのでどのように聞き分け(見分け)ていたか記憶がないが、すごく忙しかったのを覚えている。

ところで、テレビ版「赤胴鈴之助」はスタジオ生放送であるので、テープやフィルムは残されていない。今一度観たいと思うがかなわないだろう。記憶では、ほのぼのとしたホーム時代劇であった。もっとも、鈴之助なんかより「さゆり」ちゃんばかり見ていたが。

最近、驚くべき事が判明した。なんとテレビ版「赤胴鈴之助」に関西版が放送されていたというのだ。大阪テレビ(現TBS系)で、毎週金曜日の6:15〜6:30に鈴之助役に吉田豊明が演じていた。その他の出演者は現在のところ不明である。吉永さんが出演されてはいないと思うが、関西の方の調査を期待する。


(c) J. Shinshi

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