デジカメ&スキャナ画像とフォトレタッチ

画像(静止画)について

画像データは、ペイント系とドロー系があります。
ペイント系データは、色の付いた点が集まって構成するデータ形式で、この "点" を "ビクセル" または "ドット" と呼びます。ペイント系データとは、デジカメ(デジタルカメラ)やスキャナで読み込んだ画像形式のことです。ドロー系データは、線をベクトル(計算式の線)で構成するデータ形式で、点のピクセル情報が記録されます。ドロー系データは、主にイラストに利用されています。
ここではペイント系データの画像について述べます。

解像度について

ピクセルとドットは、厳密には違いがありますが、通常では意識する必要は無いと思います。
画像データは、1インチ当たりいくつの点があるかを表すもので、"ピクセル/インチ(ppi)" または "ドット/インチ(dpi)" という単位で表します。ppi(px 単位)は、画像データの解像度を表すのに対し、dpi は、モニタやプリンタなどの入出力の解像度を表します。

画像データの撮影・保存

画像データの保存には、どの程度の画素数(ピクセル)が良いのでしょうか? 例えば、35mmフィルムの解像度は 350dpi で、ハガキサイズやキャビネサイズの印刷が適切です。また、デジタル画像をフィルムのスライドに出力する場合、2K画像とする規定があります。2K画像とは、300万画素程度の 2048×1536px の事で、出力解像度 300dpi に相当します。

計算式:画素数(px)=解像度(dpi)×サイズ(インチ)
従って、2K画像が画像データの標準的な保存サイズとなります。デジカメの画像は 2048×1536pxスキャナの画像は 300〜400dpi(フィルムユニットによる35mmネガのスキャンは 1500〜1800dpi)で非圧縮または低圧縮にしましょう。
但し、デジカメで撮影するときに構図を決めてからシャッターを切り(構図が決まったら被写体を中心にもってきて、ピントを合わせてシャッターを半押しにし、撮りたい構図に戻してから全押しにします)、トリミングを極力少なくするようにしましょう。被写体が中心から斜めにずれていると、写真が生き生きとしてきます。
しかし、動きのある被写体では、この様な方法が難しいと思いますので、画像編集のトリミングで構図を改善することにして、500万画素程度の2.5K画像 2560×1920px とするのが良いでしょう。
デジカメは、A4サイズの印刷を考慮しても600万画素の3K画像 3072×2048px で充分(トリミングを考えると800万〜1000万画素)ですが、レンズの明るさが広角側開放F値3.0以下(値が小さいほど明るい)のものを選ぶようにして下さい。デジカメを選ぶ条件は、薄暗い場所での撮影でもノイズ発生の少ない事を重視して、高画素数よりもレンズの明るさを第一にします。
なお、印刷を考慮せずにパソコン表示用と割り切れば、デジカメの画像は150万画素程度の 1536×1024px(フジカラーCDやコダックのピクチャーCDも、このサイズです)、スキャナの画像は 150〜200dpi で良いでしょう。

モニタの選択と設定について

モニタを選ぶ際には、仕様の輝度とコントラスト比を確認して下さい。輝度とは、画面の明るさのことで、300cd/m2 以上ないと画像の暗い部分がツブレて見えにくくなります。コントラスト比とは、画面の白と黒の対比のことで、400:1 以上でないと滲みが見られます。500:1 以上の高コントラスト比であれば画像がクッキリ表示できます。
画像データの編集前に、モニタの色調を印刷したときの色調に合わせる必要があります。まず、色温度を 6500K に設定します。モニタの色温度は、テレビでの標準値 9300K が主流のようで、発色が鮮やかですが、白色が青みがかっていて画像処理に好ましくありません。パソコンの色表現の標準となっている "sRGB" 規格が 6500K ですので、合わせておく必要があります。設定方法は、モニタの取説を見て下さい(モニタによっては設定変更できないものがあります。色温度設定のできるモニタに買い換えをしましょう)。
次に、「コントロールパネル」から「画面のプロパティ」を開いて、[設定]タブをクリックし、画面の色を "True Color (24 bit)" にします。そして、[詳細設定]ボタンをクリックして、[色の管理]タブをクリックします。そして、[追加]ボタンをクリックし、"sRGB color space profile" を選択して下さい。"sRGB" とは、カラーマネジメントの標準規格で、デジカメやスキャナ、プリンタなどのドライバもこの規格に基づいて色管理しています。

画像データの編集

画像データの編集はフォトレタッチと言い、商用ペイント・ソフトに、"Photoshop Elements" や "Paint Shop Pro" があります。フリーソフトのフォトレタッチとしては、"JTrim" がお勧めです。"JTrim" は、動作が非常に軽く、初心者でも写真を容易に編集することができます。但し、デフォルトで対応しているデータ形式は、BMP、JPEG、PNGのみですので、"Susie Plug-in" を導入して多くのデータ形式を扱えるようにしておきましょう。なお、画像の複製を作成してから編集するようにすれば、失敗しても再度編集できます。

「『デジカメ写真は撮ったまま使うな!』 鐸木能光・著、岩波書店・発行」に "JTrim" の使い方がカラーで具体的に書かれています。フォトレタッチだけでなく、デジカメ画像の活用についても参考になります(筆者の見解と異なる記事あり)。サイトでは、"あいるうむ JTrimの使い方" で操作方法を習得出来ると思います。
● トリミング; 画像データの必要ない部分を取り除き、構図を改善します。Lサイズやハガキサイズに印刷を前提する場合、画像の縦横比を 4:2.7〜2.8 にするようにします。
ハガキサイズは、148×100mmですが、余白を5mmとすると印刷範囲は138×90mmとなります。画像の横が2000pxの場合、縦[Y]をどの位にトリミングすれば良いかは、138mm:90mm=2000px:[Y]px で計算できます。即ち、[Y]=90×2000÷138=1304 となります。
● 明るさの調整; 画像データのガンマ値は、画像の明るさと、それを表示する電圧の比を表します。一般的にガンマ補正は、1に近いほど自然な描写が得られるとされていますが、モニタのガンマ値が1.8〜2.2に設定されているため、明るさが見る環境や印刷結果によって変わってしまいます。プレビューしながら調整してください。
● コントラストの調整; "JTrim" で便利なのは、「ヒストグラムのノーマライズ」で、コントラストを上げ鮮明な画像を得られます。特に、スキャン画像に実行すると効果大です。
● 色調の調整; 画像データの色補正は、用途に応じてカラーバランスを調整する必要があります。色は3原色で構成されていますが、これには2つの形式があります。加法混色であるR(赤)・G(緑)・B(青)の構成と、減法混色であるC(シアン)・M(マゼンタ)・Y(黄)の構成です。RGBは、モニタやテレビの表示に利用され、CMYは、印刷などに利用されています。印刷用途には、青色を主に調整するのがコツです。

● プリンタの解像度; デジカメおよびモニタの色は、1ピクセルに約1677万色に対応していますが、インクジェット・プリンタ(昇華型のフォトプリンタを除く)は、4色(シアン、マゼンタ、黄、黒)の場合、インクを使わない "白" を加えて5色にしか対応していません。この為、色の少なさを解像度で補っています。画像データの1ピクセルに対し、プリンタは4〜5ドットが必要なのです。プリンタの解像度が 1440dpi の場合、デジカメ画像は約 300dpi に相当しますので、印刷はLサイズまたはハガキサイズが適切となります。(プリンタの dpi単位は、1インチの範囲にいくつ点を打てるかで、この数が多いほど綺麗な画像印刷ができるので、2400×1200dpi 以上の仕様を選びましょう)

● 縮小と圧縮; 画像データをパソコンの表示用とする場合、見やすいようにリサイズする必要があります。一般的なモニタ表示サイズが SVGA(800×600px)または XGA(1024×768px)ですので、ピクセルサイズを 768×512px 位にします。圧縮は、通常JPEG形式です。デジカメの保存画像が既にJPEG形式の場合は、再圧縮すると劣化しますので圧縮しません。圧縮率は、クオリティ値70〜75%でファイルサイズが小さくなり表示も早く、画質の劣化もほとんど見分けられません。ただし、最適な圧縮率は画像によって異なりますので何通りか試してください。

なお、画像データの編集に際して、僅かですが画質劣化を伴いますので、思うような結果を得られなかった場合には、続けて編集せずに処理を取り消し、再編集するようにします。
最後に、ファイルに[名前を付けて保存]し、元画像を[上書き保存]しないようにしましょう。ファイル名を付けるとき、「写真01.jpg」「写真02.jpg」……の様にしていると思いますが、「01写真.jpg」「02写真.jpg」……の様に、日本語名の前に半角の英数字を付けた方が便利です。多くのファイルから目的のファイルを探す場合、英数字のキーを押すことにより素早く選択できるからです。

画像データのノイズ削減

光量不足の場所で撮影した場合、CCDの感度が上昇して電気的なノイズが発生します。フォトレタッチなどのソフトでは、平均化フィルタでノイズをごまかしますが、どうしても画像がぼやけてしまいます。
そこで、画像のノイズ削減ソフトを使用しましょう。"デジカメ-ノイズリダクション" は、デジカメ画像のノイズ対策ソフトです。主な機能に、CCDのドット欠けを補完する「ピクセル置換」、光量不足によるランダムノイズを低減する「メディアンフィルタ」、長時間露出による暗部ノイズを低減する「ダークフレーム減算」があります。通常は、「メディアンフィルタ」の機能を使います。

●画像の処理; 補正したい画像を開き、[処理方法] に [メディアンフィルタ] を選びます。次に、[実行] ボタンをクリックします。そして、補正後のファイルを [保存] して下さい。[JPEG品質] は、画像が劣化しないように、なるべく高い数値に設定しましょう。

画像データの管理と保存

画像を管理する高機能なフリーソフトに、"Picasa" があります。画像をサムネイルで一覧でき、画像データベース管理も可能です。動作がとても早いのは、画像フォーマット規格 Exif および DCF に埋め込まれたサムネイル画像 160×120px の表示だと思われます。[基本編集] で簡単なレタッチ処理ができますので、画像を表示用の用途で編集するのに最適です。また、ライティング機能があり、CD-RやDVD-Rに焼くこともできます。

●画像の管理; まず、画像をスキャンする対象フォルダを設定します。[ツール] メニューから [フォルダ マネージャ] を選択し、設定画面でフォルダを選択または選択解除します。
"Picasa" で特に便利な機能が「ラベル」です。フォルダに関係なくラベル付けし、グループ化して画像を管理できます。画像を選択し、[ファイル] から [新しいラベル] を選択してラベルを作成します。また、画像を選択して [ラベル] ボタン、[新しいラベル] の順にクリックしても同様に作成できます。ラベルから画像を削除するには、画像を選択し、マウスで右クリックして、メニューから [ラベルから削除] を選択するか、キーボードの [Delete] キーを押します。
また、お気に入りの画像には、「スター(☆)」をつけておきましょう。画像検索窓で、スターの検索にとても便利です。

●画像の印刷; 画像を好きなサイズで印刷できます。通常は、ハガキサイズの印刷ですが、その他のサイズでも用紙に合わせて自動的に調節印刷可能です。さらに、1ページに複数の画像を印刷することもできます。
[印刷] をクリックして印刷画面を開き、レイアウト、サイズを選択してください。選択したサイズに基づいて、自動的に画像サイズが決定されます。[確認] ボタンをクリックすると、印刷前の設定を確認できます。次に、[印刷] をクリックすれば、プリンタに画像の印刷が開始されます。
用紙は、普通紙では白色度が余り高くなく発色が良くありませんので、写真用の光沢紙タイプを使用しましょう。私見では、富士フィルムの「画彩写真仕上げHi」が良いです。

●画像のスライドショー; フォルダまたはラベルを選択して、[スライドショー] ボタンをクリックし、スクリーン上の [再生] ボタンをクリックすると、スライドショーが開始されます。スライドショー・モードでは、画像を回転させたり、スター(☆)を追加したり、各スライドの表示時間を変更したりできます。
スライドショーにBGMを流したい場合は、[ツール] メニューの [オプション] を開き、[スライドショー] タブをクリックして [スライドショー中に音楽(MP3)を流す] 項目にチェックを入れ、[参照] ボタンをクリックして MP3 ファイルの入ったフォルダを指定し [OK] ボタンをクリックします。
スライドショーを終了するには、キーボードの [Esc] キーを押します。

●ギフトCDの作成; スライドショーを作成し、CDアルバムとして贈ることができます。
書き込み可能なドライブに CD-R を挿入し、画像またはアルバムを選択して、[ギフトCD] ボタンをクリックします。 [ギフトCDを作成] 画面でチェックマークの付いている画像がギフトCDに保存されます。次に、画像のサイズを選択し、CDに名前をつけます。最後に、[ディスクへの書き込み] ボタンをクリックします。

●画像のバックアップ; 画像データは、テーマごとに分類してCD-R/RWやDVD-R/RWにバックアップしましょう。バックアップできたのを確認後、データ消去してハードディスクの空き容量を確保するようにします。まだバックアップされてない画像は "Picasa" に表示されるので、バックアップする画像を重複せずに保存できます。
書き込み可能なドライブにCD-R/RWまたはDVD-R/RWを挿入し、保存する画像を選択して、[ツール] メニューから [画像をバックアップ] をクリックします。次に、書き込み可能なCD-R/RWやDVD-R/RWにバックアップするフォルダを選択します。

データの保存、もう一つの方法

データのバックアップには、最も耐久性の高いメディア MO があります。ハードディスクの書き換え回数が100万回以上に対して、光磁気ディスクの MO (Magneto Optical Disk) は、1000万回以上です。但し、GIGAMOと称される1.3GBと2.3GBは、10万回以上とあまり耐久性が良くありません。540MBか640MBを使用しましょう。データの書き換えに際しても、MO は交換領域を持っているのが有利です。これは、書き込み中にエラーが発生しても、交換領域に正しく書き込みを行う処理で、CD-R/RWにはこの様な機能がありません。また、ディスクはカートリッジに収められて記録面が保護されていて、傷が付きにくい構造になっています。この様に耐久信頼性が高いので、プロ業界では標準的なメディアとなっています。
データの書き込みもフロッピーディスクと同様に行えます。CD-R/RWのようにライティングソフトが必要ありません。



(番外篇)立体画像の作成

図立体(ステレオ)画像を作成する世界的に有名なフリーソフトに、"ステレオフォトメーカー" があります。デジカメで撮影した写真から、裸眼視、アナグリフ、インターレス、液晶シャッター用のノンインターレスなどの色々な形式のステレオ画像を作成、および表示できます。左右の位置会わせ、角度修正、トリミング等、簡単にできます。
被写体が静止していれば、1台のカメラでも、撮影位置を眼と同じ位置に換えて2枚の写真を撮影することにより、手軽に立体画像が作成できます。
立体感を得るには、肉眼と同じ約7cmの位置間隔で、被写体までの距離1〜4m位の範囲で撮影するのが効果的です。被写体までの距離が遠い場合は、カメラを横にずらす間隔を被写体までの距離の約1/30にすれば立体感が得られます(右図を参照)。その際、撮影する向きによって色温度が変わってしまわないように、ホワイトバランスはオートでなく、固定設定する方が良いでしょう。
その他の詳細な説明については、ステレオフォトメーカーのサイトのオンラインヘルプをお読み下さい。

注意

以上の解説は、Windows を対象にしています。Mac での画像処理の経験がありませんので、ご了承下さい。筆者の調査と経験に基づいて書きましたが、もし間違いなどありましたら、お知らせ下さい。


(c)J.Shinshi

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